東村山市議会
議長あてに
わたしたち政策研究会「多磨全生園の将来構想に市議会は何ができるか」メンバーが8カ月全10回の学習会と意見交換を踏まえた報告書を2月28日に提出しました。
私たちは、国立療養所多磨全生園(以下、多磨全生園と呼ぶ)の歴史を今に伝えるさまざまな遺構が次第に姿を消し、科学的な誤解や社会的な偏見・差別によりハンセン病患者に対して行われてきた、人権抑圧の史実までが消し去られるのではないかとの危惧を抱いています。
史実を裏付ける園内の遺構は、わが市のみならず国民全体への人権啓発の貴重な財産として、将来に向けて、可能な限り保存されていくべきであると考えます。
多磨全生園の所在するまちの議会として、東村山市議会は平成21年に「いのちとこころの人権の森宣言」を議決しています。市民の代表である市議会が、多磨全生園創立百周年を機に元患者さんの慟哭の叫びを市民に訴え、将来に向けて伝えていくことを決意したものです。それから13年を経過した今、あらためてこの問題と向き合い、宣言の精神に基づき「市議会には何ができるか、また何をすべきか」について、調査、研究、そして議論を重ねてまいりました。
私たちは、8か月にわたる調査、研究や相互の意見交換を通して、私たちの政策研究会としての取組み自体が、その第一歩であったと認識しています。この問題の解決に向けては、議会は何らの権限も義務も有していません。だからこそ、さまざまな制約にしばられることなく、国家権力により一生涯を拘束された元患者さん達の声を、広く国民に、将来に向けて伝えていくことができると考えます。
さまざまな角度からのお話を拝聴し、テーマである「市議会には何ができるか、また何をすべきか」について、私たちが共通の認識の立った以下の2点について決意し、今回の活動の結びといたします。
1 多磨全生園を、将来にわたり国の人権学習の拠点としていくこと。
2 多磨全生園における国策による人権蹂躙の歴史を踏まえ、市民と共に今後も人権啓発のあり方について、研究や議論を継続して行っていくこと。
令和5年2月28日
政策研究会「多磨全生園の将来構想に市議会は何ができるか」
座長 伊藤 真一
朝木 直子
浅見 みどり
かみまち 弓子
佐藤 まさたか
白石 えつ子
藤田 まさみ
山田 たか子
渡辺 英子